従来の、360度の針の回転で時間を表示する時計では、文字盤の部分に写真や絵などを飾る場合、時計の針を、一度全て回転軸から外し、時計の回転軸を通すための孔をあけた写真や絵を文字盤の部分に装着し、その後、元通りに針を回転軸に装着し、時間を合わせ直さなければならず、相当な手間が掛かり、その手間が写真や絵を換える度に必要になり煩わしい上に、必ず写真や絵に孔をあけなければならない欠点が有りました。
写真や絵に孔をあけた場合、その写真や絵としての価値を大幅に損ないますので、お気に入りの写真や絵でも、貴重なものを飾ることはためらわれました。
また、上記の時計では、文字盤の前面にガラス、あるいは、透明なプラスチックを設けた場合、文字盤の部分に写真や絵を飾るのに、時計の針を外したり、付けたり、時間を合わせ直したりする手間の他に、文字盤の前面のガラスを外したり付けたりする手間も加わり、ますます面倒になりました。
文字盤の前面のガラスを省略した時計とすれば、文字盤の前面のガラスを外したり付けたりする手間は省けますが、文字盤面が汚れたり針に埃が着いて見苦しくなる難点が有りました。
そこで、双針の針を用いて180度の回転(半回転)で、針aと針bが交互に時間を表示する構造とし、従来の時計の半分の、半円で時間を表示することにより、文字盤部分に写真や絵などを装着するのに、時計の回転軸が邪魔にならないようにしました。
それにより、写真や絵に孔をあけて、大切な写真や絵の価値を損なうこともなく、また、針を外したり付けたり、時間を合わせ直したりする煩わしさもなくなりました。
なお、写真や図面の試作品の時計では、文字盤の前面のガラスを省略した構造に成っていますが、文字盤の前面にガラスを設けても、文字盤の部分に写真や絵などを着脱するのには無関係ですので、文字盤の前面にガラスを設けて文字盤や針が汚れるのを防ぐこともできます。
この発明の時計に、ただ、人それぞれに、好みの写真や絵を透明な文字盤の背後に差し込むだけで、その人オリジナルの時計に成り、且つ、気分に応じて、いつでも写真や絵を気軽に取り換えられます。
その上に、従来に無い時間の表示の仕方をも楽しむことができますので、文字盤の部分に飾った、その人オリジナルの写真や絵と、独創的な時間の表示の仕方との相乗効果により、相当に個性的で楽しいインテリアに成ります。
この発明の時計には、通常の時計の二分の一の速度で、時、分、秒(秒は省略可)それぞれの回転軸が回転する時計ムーブメントが不可欠です。
しかし、そのような時計ムーブメントは何処にも無く、特別に注文するとなると相当なコスト高になります。
一般的な時計では、水晶振動子を利用して電気発振をさせて正確な周波数の高周波(M Hz)を得、その正確な周波数の高周波を何段もの分周回路で二分の一、そのまた二分の一、そのまた二分の一と目的の周波数まで徐々に下げていき、それで得られたパルス電流で時計ムーブメントのモーターを動かす構造に成っています。
そこで、時計ムーブメントに使われている水晶振動子を、通常の時計の二分の一の共振周波数のものに取り換えて、回転軸が通常の時計の二分の一の速度で回転するようにしようと考えました。
そのような目的に適う共振周波数の水晶振動子がないだろうかと捜したところ、通信機などに用いる水晶振動子で目的の共振周波数のものが、ごく安価で有りました。
早速、その水晶振動子を調達して実験してみましたが、しかし、通信機などに用いる水晶振動子は共振周波数の精度が低く、一日に数十秒の誤差がでて時計には向かないことが分かりました。
その上に、新しい時計ムーブメントでは、使われている水晶振動子が、通信機などに用いる水晶振動子よりサイズが小さく、共振周波数が同じでも、水晶振動子を振動(共振)させて電気発振させるだけの電気エネルギーが、発振回路(時計ムーブメント用のIC)に無いのか動作しませんでした。
時計用の水晶振動子であれば目的に適いますが、特別注文となると相当なコスト高になるので、水晶振動子を、通常の時計の二分の一の共振周波数のものに取り換えて、回転軸が二分の一の速度で回転するようにするのは断念しました。
次の方策として、時計ムーブメントの水晶振動子の共振周波数を変える代わりに、ムーブメントのモーターを動かすパルス電流そのものを、直接二分の一にすることを試みました。
様々な試行錯誤を繰り返した結果、最終的には、1.5Vの乾電池一本で動作し、消費電流がごく少ないFlip-Flop回路の入ったC-MOS IC(電界効果トランジスタで構成された回路のIC)を用いて、時計ムーブメントのパルスモーターに加えるパルス電流の回数を、通常の二分の一にして目的を達成しました。
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